地震に強い家の構造と対策

壊れた家

近年地震による家屋の倒壊の被害が写真などで紹介されていて、見る機会も多くなりました。

崩れた家の下敷きになることで多くの命が失われています。

人的被害を少なくするためにも、家も耐震構造にして強くする方がいいのですが、お金もかかることであり、なかなかですね。

目次

地震が少ないと言われている地域でも安心できない

地震が少ないとされている地域では「地震が少ないので、家の構造をどうにかすると言うより、逃げ方を教えてもらった方がいい」などと言う方も多いようです。

 

2016年の4月に震度7の地震が2度起こった熊本県益城町

この地域では比較的地震が起こりにくいとされていました

なのに・・・この地震が起こりました。

地震計

地震を逃れた家 最新基準の耐震性

この時、震災を逃れた家が話題になっていました。

この家はどんな地震に強い家の構造になっているのでしょうか。

 

1981年から2000年に建てられた建物は「新耐震基準」という基準で建てられています。

しかしそれでも、8割が被害を受けたそうです。

 

同じ基準で建てられた家でも、なぜ倒壊する家としなかった家があるのでしょうか?

できれば地震に強い家にしたいものです。

そこのところをNHKのあさイチで1月25日、放映がありました。

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木造住宅の耐震基準

木造住宅には3つの基準があります。

1981年までの旧耐震基準(1923年関東大震災、1978年宮城県沖地震)と、
1981年~2000年までの新耐震基準(1995年阪神・淡路大震災)、
2000年以降の最新基準と3つの基準があります。

これらの基準に添って、住宅が建てられているわけです。

 

木造住宅の被害はやはり1981年以前の住宅の被害がひどくなっていますが。

古い耐震基準の家では、家の補強をして耐震性を高めた方がいいですね。

 

また熊本地震の益城町の被害調査を日本建築学会が行いましたが、最新基準以前に建てられた家は大きな被害が出ていましたが、2000年からの最新基準以降の住宅の被害は比較的軽い被害だったということです。

 

やはり新しい基準は大きい地震があるごとに次第に強化されてきていて、より強い構造になっているのですね。

 

それでも、同じ新しい基準でも家によって被害に違いがあるとはどういうことなのでしょう。

 

それがわからなければ、気にはなっていてもどうしていいかわかりませんよね。

大工さんが家を造っているところ

耐震基準で被害が違う

3つの耐震基準で異なる被害

旧耐震基準 94.8%
新耐震基準 79.6%
最新基準  38.6%

※以上はNHK放送の益城町の被害のパーセンテージです。
住宅の強さとは「壁」の強さになります。

同番組では、簡単なわかりやすい筋交いの模型で紹介されていました。

 

三角形がいっぱいあると強くなります。

強い合板というのも筋交いの代わりになり、窓がいっぱいあるような住宅では強度が弱くなります。

また筋交いはバランスが大事で、東西南北にバランスよく配置するのが良いのです。

 

広いリビングルームや窓が多かったりすると、素敵ではありますがバランスが悪くなりがちです。

 

屋根の重さも大切で、また太陽光パネルなどはどうしても南側につけるようになるので、バランスが崩れやすくなります。

 

最新基準では筋交いの他に金具で固定もするようになっているので、より強度が増しています。

金具で固定

同じ最新の耐震基準でも被害が違うわけとは?

最新基準の家では壁紙が破れただけという家もありました。

震度7が2回もきているのに、この壁紙が破れただけというのは、被害が軽微だったといえます。

 

一方、最新の耐震基準でも住宅が全壊というケースもありました。

同じに新しいのに信じられないですよね。

 

同じ耐震基準でもこうも違ってくるのですね。

これは「直下率」というのが関係してくるとのことです。

直下率

上のケースでは「直下率」というのが関係してくるということですが、「直下率」とはなんでしょうか。

直下率とは2階と1階の柱や壁がつながっているような構造になります。

 

2階の壁の真下に1階の壁がある場合、2階の柱に1階の柱があったりすることです。

こうして1階と2階が繋がっている構造だと、地震で受けた力をスムーズに地面に逃がすことができるのです。

 

これは傾いた家とそうならなかった家の構造を比べてみるとわかります。

2階の壁の下に壁がない状態だと極めて直下率の低い構造となってしまいます。

直下率の低い構造

・2階が小さい
・1階が駐車場
・屋根が重い
・建物のバランスが悪い

直下率の良い構造

・箱っぽい外観
・屋根が軽い
・もともとの建物のバランスがいい
・壁がつながりやすい

直下率を改善するには?

他の部分で補うことができます。

・フローリングの下に硬い床を貼り付ける
・吹き抜けがあると、力を横に流さなくなるので、吹き抜けの周りに梁をもうける。

 

要するに、壁を増やせばいいということです。

「直下率」は法律に規定がないので、設計図にも載っていないということです。

調べたい場合は、住宅メーカーや建築士などに相談をしましょう。

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耐震の費用は?

・新築で30坪くらいだと約40万~50万円
・建ててしまった後だと、およそ120万~150万円

これで補強すれば安全が買えます。

 

また、この補助金が出る地域もあるようです。

その地域によって、状況が違いますので、自分の住んでいる地域に聞いてみてください。

「耐震基準」とは違う「耐震等級」

またまた複雑ですね~。

「耐震基準」は最低限の基準を定めたものになりますが、国が定めた「耐震等級」というものがあります。

 

「耐震等級」には3段階あります。

耐震等級1は耐震基準と同等、
耐震等級2は耐震基準の1.25倍
・最高の「耐震等級3」は耐震基準の1.5倍

耐震性があることを示す指標です。

 

それぞれメーカーが、強い壁の量を増やしたり、床や天井を強くする指標にもしています。

 

筋交いを足して強い壁にしたり、「火打ち」と呼ばれる筋交いを入れて、デザイン性だけでなく地震にも強い家造りをしようとしています。

 

指標があることによって、私達も安心して選ぶ基準にできます。

後からの耐震構造

広い古い家の場合、耐震化に費用がかかり過ぎる場合

低価格な「耐震シェルター」というのがあります。

家の一部だけを耐震化することによって費用を抑えたり、部屋の中に「耐震シェルター」というものを設置して逃げ場を造ります。

 

部屋の中に部屋がある感じですね。

設置した部屋は狭くなってしまいますが、広い家では有効なのではないでしょうか。

万が一のことを考えて逃げ場を設置しておくのは大きな安心に繋がります。

 

またこの場合でも補助金が出る場合があるので、住んでいる自治体にたずねてみるといいでしょう。

費用は20万円~となっています。
(番組の方は42万5000円でしたが、補助金が40万円でました)

改修や耐震化などは各自治体に登録されている業者で

最近増えているものに耐震化のサギがあります。

こんな業者に引っかからないためにも自治体に登録されている業者に依頼しましょう。

くれぐれも訪問販売などで依頼しないようにしましょう。

リフォームにご注意

最近国が力を入れているのに、リフォームがあります。

しかし、こちらは注意しないと、耐震基準を落とす結果になってしまうことも・・・。

 

理由は明り取りのために小窓を設置したら、筋交いが切られそのままになった状態であったりする場合があるからです。

そういう場合は側の壁などに「筋交い+合板」で耐震性をアップさせるといいそうです。

 

このようにリフォームで筋交いを切断したり、壁や柱を撤去したり、基礎の部分に換気のためのを開けてしまったりということが起こっています。

リフォームをする時はくれぐれもご注意くださいね。

マンションの耐震性について

マンション

地域によって違う耐震基準

地域によって差がある、鉄骨・鉄筋造りのマンション。

木造でも3階建て以上の耐震基準は違いがあります。

 

「地震地域係数」という国の定めた制度があり、市町村ごとに1割から3割の耐震基準を引き下げることができるということで、設けられています。

 

これは「プレート型地震」の発生頻度を考慮して作られたものです。

ですから断層のずれによって引き起こされる地震は考慮されていないため、熊本地震や阪神・淡路大震災のことは考慮には入っていません。

 

そのため、熊本県では耐震制度の80%で良いということになります。

このため今度の地震があって、熊本では見直そうという動きになっています。

マンションの構造

鉄筋コンクリートのマンションは2つの工法があります。

壁式構造  壁で建物を支える

ラーメン(枠)構造  柱や梁などの骨組みで建物を支える

 

壁が多い建物は地震があっても建物の変形が少なくなります。

が、ラーメン構造は柱や梁を変形させながら揺れを逃がす造りなので、揺れやすいです。

 

そうなると、揺れやすくダメージを受けやすくなります。
また、「ピロティ型」マンションというのは、1階に駐車場があったりして、空洞になっています。

 

1階に壁が少ないので、揺れやすくなり、潰れやすくなります。

その補修としては、1階部分に鉄骨を入れて補強する方法などがあります。
高層マンションでは「長時間長周期地震動」というものに注意が必要です。

 

「長時間長周期地震動」は、ゆっくりとした地震の揺れになります。

ビルの高いところはかなり揺れるため、家具の転倒や立っているのが困難になります。

 

停電やエレベーターの停止も心配です。

現在のマンションには制振構造免震構造というのがあり、エネルギーを吸収するダンバーを設置したり、建物と地盤の間に積層ゴムなどの装置を介入したりと、揺れを軽減する措置がとられています。

これからの地震に備える住処

地震大国である日本。

これからの住まいでは、耐震リフォームや、耐震工事、耐震補強など一層重要になってくるでしょう。

快適に住まうために大切なことを考え、かつ経済的にもバランスのとれたあり方をそれぞれが考え、身を守っていくことが大事になります。

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