倉時代初期の仏像彫刻の名品、快慶、定慶、行快の作品の展示です。
京都・大報恩寺の秘仏が公開されます。
釈迦如来、観音菩薩などの重要文化財指定の傑作の数々を堪能することができます。
たまには心を落ち着け、仏像を眺める時間もいいものです。
目次
「京都大報恩寺快慶・定慶のみほとけ」の開催概要
【会 期】2018年10月2日(火)~12月9日(日)
【会 場】東京国立博物館 平成館 特別展示室第3室・第4室(上野公園)
【開館時間】 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
【休館日】月曜日(ただし10月8日(月・祝)は開館、10月9日(火)は休館)
【観覧料金】一般1400円、大学生1000円、高校生800円、中学生以下無料
【アクセス】
・JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
・東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅
・千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
大報恩寺(だいほうおんじ)
紅葉の名所、北野天満宮のすぐそば、京都市上京区七本松通今出川上ル溝前町にあります。
鎌倉時代1221年(承久3年)に創建されたお寺です。
真言宗智山派、山号を瑞王山と称します。
「千本釈迦堂」とも呼ばれています。
本堂は1227年に上棟されたとされており、そのものが現存しているのです。
洛中最古の建造物であり、国宝指定されています。
釈迦如来像
この本堂の内陣奥、須弥壇に、本尊『釈迦如来像』が置かれています。
重要文化財です。
内陣とは本堂内の僧侶が御護摩祈祷時に座る場所で、参拝者は入ることはできません。
須弥壇とはご本尊を安置するための一段高く設けられた場所のことです。
釈迦如来とは仏教の開祖、お釈迦様、ゴーダマ・シッダッタそのもののことです。
そしてこの大報恩寺の秘仏本尊であります釈迦如来坐像は、行快の作品です。
像内に「巧匠法眼行快」の朱書銘があるそうです。
丸みの強い面部や目尻の上がった目の形などに、その特徴が表れているのです。
本堂横には、霊宝殿があります。
こちらにも数々の重要文化財指定の仏像が置かれています。
『十大弟子立像』
釈迦の高弟10人の立像です。
それぞれおよそ1mの高さです。
1218年から1220年にかけて、快慶およびその弟子たちによって作られたのです。
阿難陀、羅 羅、優婆離、阿那律、迦旋延、富楼那、須菩提、大迦葉、目 連、舎利弗の十体です。
これらの読み方は「あなんだ、らごら、うばり、あなりつ、かせんえん、ふるな、すぼだい、だいかしょう、もくけんれん、しゃりほつ」になります。
目 連、優婆離には「巧匠法眼快慶」の書銘が残されています。
優婆離、阿那律、富楼那は行快の作品と考えられています。
この十体は、かつては、本堂にて釈迦如来像とともに安置されていたのです。
『六観音菩薩像』
1224年に、定慶およびその弟子たちによって作られました。
六人の観音様が、六道に迷う人々を救ってくださるのです。
六道とは、人間が輪廻転生してさまよう世界です。
ここから抜け出すと煩悩から解き放たれ解脱することになるのです。
天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六つです。
観音菩薩様がそれぞれから救い出してくださるのです。
如意輪観音(天道)、准胝観音(人間道)、十一面観音(修羅道)、馬頭観音(畜生道)、千手観音(餓鬼道)、聖観音(地獄道)の六観音です。
如意輪観音のみが坐像で他は立像です。
法眼とは
書銘にある法眼とは僧位の一つで、平安時代後期から仏師にも与えられていました。
法眼の他にも、法橋、法印があります。
これは、仏師たちは皇室あるいは貴族などをはじめとする権力者などに向けて仏像を献上しており、平安時代後期に、仏師定朝に藤原道長が法橋を与えたことに始まるようです。
定朝の代表作としては、平等院鳳凰堂の本尊阿弥陀如来坐像があります。
そしてこの定朝の跡継ぎから、慶派、院派、円派という仏師の集団が出来てきました。
快慶、定慶は慶派の有力な仏師でした。
京都大報恩寺快慶・定慶のみほとけの見どころ
今回の特別展においては、かつてそうであったように、『釈迦如来像』と『十大弟子立像』を同じ空間に展示し、いにしえの思いを共有することができます。
また、『六観音菩薩像』は台座も光背も像造当初のものを残していますが、10月30日以降の展示においては、光背を取り外し、美しい背中も見ることができます。
北野経王堂(きたのきょうおうどう)
かつて北野天満宮にありまして、大報恩寺に移されました名宝も展示されます。
北野経王堂は足利義満によって建てられた仏堂です。
北野経王堂一切経(重要文化財)
15世紀前半に日本各地の僧侶によってなされた写経です。
5000部以上の仏教典が記されています。
傅大士坐像およびニ童子立像
こちらは「ふだいしざぞうおよびにどうじりゅうぞう」と読みます。
こちらも重要文化財です。
1413年に建立された北野経王堂の輪蔵の前に安置されていた像です。
輪蔵とはお経を収める蔵の一種で、中心軸に沿って回転する八面型の書架のことです。
傅大士は中国にて6世紀にこの輪蔵を開発した人で、ニ童子はその息子です。
院派の仏師、院隆の作です。
まとめ
仏像の持つ独特の雰囲気に触れられる展覧会となっています。
また同時期に「マルセル・デュシャンと日本美術」展が開催されています。
20世紀の美術に大きな影響を与えたフランス人マルセル・デュシャンの作品と、日本のちょっと異色な美術品とを対照させている、興味深い展覧会です。
こちらも一見の価値があります。
この2展セット観覧料金は一般2000円となっています。
ついでに見てもいいですね。
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